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ベンチャー企業におけるマネジャーと認知バイアス


新入社員の入社後の定着と早期戦力化を支える、オンボーディングクラウドサービスを開発・提供するOmboと申します。

本記事では、「認知バイアス」について取り上げていきます。組織内で、マネジャーがリーダーシップを発揮する際に、認知バイアスが邪魔をしている時があります。よくある認知バイアスの例をご紹介し、まずは知ることから始めていくための内容です。

認知バイアスによる不本意な判断や世の中の流れに安易に流されることなく、世の中のリーダーが適切な判断ができるようになっていただけたら幸いです。

認知バイアスとは

人間はホモ・サピエンスとして進化する過程で、迅速な判断を要する厳しい環境で生き延びてきました。その中で「認知バイアス」と呼ばれる自動的な思考パターンが形成され、私たちの意思決定に影響を及ぼしています。

例えば、「確証バイアス」という傾向は、自分に都合の良い情報だけを収集しようとする思考です。人間の進化の過程では、このようなバイアスは生存を助けてきましたが、現代の複雑な社会においては、誤った判断を引き起こす原因となりえます。

ビジネスの世界でも、無意識のバイアスが良い意思決定と同時に、悪い意思決定にも影響を与えてしまうため、特に、企業のマネジャーにとってはその理解が不可欠だと言えるでしょう。

マネジャーと認知バイアスについて

特にベンチャー企業においては、マネジャーが多くの意思決定を迅速に行うため、認知バイアスに注意が必要です。

例えば、新しい戦略を取るべきかどうかを検討するとき、無意識のうちに自分の仮説を支持する証拠ばかりを探してしまう「確証バイアス」が働くことがあります。このようなバイアスが放置されると、客観性を欠いた判断が積み重なり、事業やその部署の成長を阻害するリスクが高まります。

知っておきたい認知バイアス6選

マネジャーが知っておきたい具体的な認知バイアスの紹介と、起こりうる影響を紹介します。

1. 確証バイアス:

自分の仮説や意見に沿った情報だけを集め、無意識に支持してしまう
▶︎客観的な判断ができず、偏った意思決定を行う恐れがある

2. 正常性バイアス:

自分の仮説や意見に沿った情報だけを集め、無意識に支持してしまう
▶︎組織にとって致命的なリスクに早期対応できない可能性がある

緊急事態においても、「普段と変わらない」と思い込む傾向です。例えば、山一證券の破綻の際、兆候があったにもかかわらず、社員は実感が薄く、テレビを見て事態を認識したという事象が起きたことがあります。

3. 一貫性バイアス:

過去の行動に固執し、変更を避けようとする
▶︎市場の変化に対応できず、業績の低迷を招く恐れがある

4. サンクコスト効果:

既に投入したコストに固執して合理的な判断ができなくなる
▶︎不要なプロジェクトに執着し、損失を拡大する可能性がある

5. ハロー効果:

特定の印象によって他の要素も肯定的または否定的に捉える
▶︎客観性を欠き、適材適所の人事判断ができない恐れがある

6. フォールスコンセンサス効果:

自分の意見が広く共有されていると思い込む
▶︎周囲との意識のギャップを見過ごし、チーム全体の士気や協調性に悪影響を与える

例えば、ベンチャー企業における採用シーンでは、「ハロー効果」が大きな影響を及ぼすことが少なくありません。

ハロー効果は、ある特定の印象が他の評価にも影響を与えてしまう心理的なバイアスのことです。特に「外資SaaS出身」「前職で役員をやっていた」などの肩書きが、その人の全体的な能力や即戦力性に直結していると無意識に捉えられることがあります。

認知バイアスの克服に向けて

認知バイアスを完全に排除することは難しいですが、その存在を認識し、意識的に対策を講じることが重要です。関西大学の藤田政博教授が著した『リーダーのための【最新】認知バイアスの科学』によれば、メタ認知(自分の思考を客観的に観察し認識する能力)を高めることで、偏った判断を和らげることができるとされています。

ベンチャー企業での意思決定のスピードが求められる中で、認知バイアスによって無意識に誤った方向へ進んでしまうリスクは少なくありません。特にリーダーシップを発揮するマネジャーが、自分自身の認知バイアスに気づき、適切な判断を下すための努力を続けることは、組織の健全な成長に直結します。これにより、ビジネスの競争力が高まり、持続可能な発展が実現できるでしょう。


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