新人の離職を加速させてしまう”管理職の特徴”とは
30名、50名と組織が拡大していく過程で、中途入社者=即戦力という前提が、明示されないまま共有されていく組織は多くあります。
「中途入社だし、ある程度は自分でやってくれるはず」
忙しい現場では、そんな前提から受け入れが始まることも少なくありません。管理職や先輩社員も成果責任を抱えており、新しく入ったメンバーに十分な時間を割けない。それなりの経験を持つ人材を迎え入れているはずなのに、なぜか定着しない。
新人の早期離職は、本人の能力だけで説明できるものではありません。
本記事では、実務の現場でよく見られる「新人の離職を加速させてしまう管理職の特徴」を整理し、その背景にある構造的な問題をひも解いていきます。
“辞める新人が悪い”というスタンスはどこから生まれるのか

「辞める新人が悪い」というスタンスというのは、一時的に現場を守ることがあります。「これ以上向き合わなくていい」という安心感を与えてくれるからです。
しかし、この結論に落ち着く限り、離職は形を変えて繰り返されてしまいます。育成の設計と関わり方が変わらなければ、結果は大きく変わりません。「辞める新人が悪い」というスタンスは、どこから生まれるのでしょうか。
1-1. 忙しさによる思考の単純化
成長フェーズの組織では、管理職の多くが慢性的な時間不足に陥っています。数字の責任を持ち、日々の判断を求められ、トラブルが起きれば最初に呼ばれる。そうした状態が続くと、「まずは現場を回すこと」が最優先になります。
その結果、新人育成は「重要だが、今すぐ取り組まなくても致命傷にはならないもの」として後回しにされがちです。新人の不安やつまずきに、腰を据えて向き合う余白は、少しずつ削られていきます。
余裕がないとき、人は複雑な要因を分解して考えることができません。
「なぜうまくいかなかったのか」を構造として捉える代わりに、「結局、本人の問題だったのではないか」という、分かりやすい結論に寄ってしまいます。この思考は、怠慢から生まれるものではありません。忙しさが、判断の解像度を意図せず下げている可能性があるのです。
1-2. 「自分は耐えてきた」という成功体験
多くの管理職は、決して恵まれた環境だけで育ってきたわけではありません。
十分な説明がなくても、理不尽さを感じながらも、結果を出し、評価されてきた経験を持っています。その体験は、強い自信と同時に、無意識の基準になります。
新人が不安を口にしたり、早い段階でつまずいたりすると、
・「それくらいで折れるのか」
・「自分のときはもっと大変だった」
という感覚が、反射的に立ち上がってきます。
ここで起きているのは、価値観の押し付けというよりも、基準の更新が止まっている状態です。働き方も、情報量も、求められる役割も変わっているにもかかわらず、自分の成功体験だけが育成の物差しとして使われてしまいます。このズレが積み重なった先に、「最近の新人は弱い」そして「辞める方が悪い」という言葉が出てきます。
1-3. 「環境や設計」の問題であることの認識不足
オンボーディングが十分に設計されていない組織では、業務の全体像、期待される役割、評価の基準が曖昧なまま、新人が現場に入ります。
ただし、その曖昧さは管理職側からは見えにくいものです。自分の中では理解できており、業務も回っている。だから、特段の問題は起きていないように感じます。
一方で新人は、
・「何をどこまでできればいいのか分からない」
・「正解が見えないまま動いている」
という状態に置かれています。
それでも新人が辞めてしまうと、設計や環境を問い直す前に、「結局、合わなかった」「覚悟が足りなかった」という整理がされてしまう、これは悪意ではありません。組織として問い直すための材料、つまり”環境”や”設計”が、最初から用意されていないのです。
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新人の離職を加速させる管理職の特徴
ここからは、新人の離職と強く相関する管理職の振る舞いを整理します。
いずれも極端な話ではありません。むしろ、忙しい現場ほど“普通に起きている”ものです。
次の4つが主な特徴です。

2-1. 期待値を共有しないまま「任せたつもり」になっている管理職
新人に仕事を渡す場面では、「これ、やっておいて」「前と同じ感じで進めて」といった指示が、特に違和感なく交わされます。管理職の頭の中では、過去の経緯や前提条件が自然に補完されています。しかし新人には、その文脈が共有されていません。
- どこまでやれば合格なのか
- スピードと正確さ、どちらを優先すべきなのか
- 判断に迷ったとき、誰に、どのタイミングで相談すればいいのか
こうした基準が言語化されないまま業務が進むと、新人は常に「正解探し」を強いられます。失敗すれば叱られ、確認すれば「それくらい自分で考えて」と返されるのです。
この状態が続くと、新人は次第に動けなくなります。離職の引き金になるのは、業務そのものの難易度ではありません。判断基準が与えられていないことです。
2-2. フィードバックが”評価”か”注意”しか存在しない管理職
新人とのコミュニケーションが、ミスをした時や成果が出なかった時に限られているケースは珍しくありません。管理職としては、問題が起きたときに指摘しているつもりでも、新人側からすると、「普段の仕事ぶりがどう見られているのか分からない」状態が続きます。
何ができるようになっているのか、どこが順調で、どこがまだ足りないのか、こうした情報が共有されないまま、突然の評価や注意だけが届く。心理的安全性に関する研究でも、不確実性が高い環境ほど、人は萎縮しやすいことが示されています。
評価だけが存在する環境では、新人は挑戦よりも失敗回避を選ぶようになります。その結果、成長は止まり、「向いていない」「合わなかった」という短絡的な結論にたどり着いてしまいます。
2-3. 育成を本人の努力に委ねてしまっている管理職
「分からないことがあったら聞いて」
「最初は大変だけど、そのうち慣れるよ」
これらの言葉は、一見すると配慮のある声かけに聞こえます。しかし、具体的な支援の設計が伴っていない場合、新人にとっては責任の押し戻しになります。
例えば、質問をするラインや助けを求める範囲が線引きされていない中で、主体性を求められても新人には認知することができません。結果として、新人は「できない自分」を責め続けるか、「ここは放置される場所だ」と感じて、距離を取り始めます。
育成を個人の努力に委ねるほど、組織としての学習は蓄積されません。同じつまずきが、何度も繰り返されます。
2-4. 「辞める新人が悪い」という結論で思考を止めてしまう管理職
「最近の若い人はすぐ辞める」「うちのカルチャーに合わなかった」など、離職の原因を掘り下げず、思考停止に陥ってしまうことは、管理職自身をも孤立させてしまいます。育成がうまくいかなかった理由を、誰とも共有できなくなるからです。
新人の離職は、本来、管理職一人で背負う問題ではありません。にもかかわらず、「本人が悪かった」で片付けてしまうと、次の改善の手がかりは失われます。
管理職と新人を同時に守る、オンボーディングという考え方

ここまで見てきたように、新人の離職を加速させる要因は、管理職個人の資質というよりも、育成が「個人任せ」になっている状態にあります。この問題に対して有効なのが、オンボーディングを“仕組み”として捉え直す視点です。
①オンボーディングは「新人のため」だけのものではない
オンボーディングという言葉は、しばしば「新人向けの施策」として扱われます。入社初日の説明や、最初の研修プログラムを指す言葉として理解されることも多いでしょう。
しかし実務の現場で見る限り、その本質は別のところにあります。
オンボーディングが本当に機能するのは、管理職が一人で育成を抱え込まなくて済む状態をつくれたときです。業務の全体像、期待される役割、評価の観点、最初につまずきやすいポイント。これらがあらかじめ整理され、一定の型として共有されていれば、管理職は毎回ゼロから説明する必要がなくなります。
「何を教えるか」ではなく、「何がすでに共有されているか」が明確になっている状態を目指すのです。
それは、新人の安心感を高めると同時に、管理職の判断負荷を下げます。オンボーディングは、新人を管理するための仕組みではなく、育成を“回るもの”にするための装置なのです。
②「個人・組織・環境」で育成を分解する
新人の立ち上がりがうまくいかないとき、原因を一つに求めてしまいがちです。しかし実際には、複数の要素が絡み合っています。そこで有効なのが、「育成」というものを3つの視点に分けて捉えることです。
まず、個人の視点。
→新人がいま何を理解していて、何に不安を感じているのか。スキルや知識だけでなく、仕事への意味づけや、自分はやれているのかという感覚も含まれます。
次に、組織の視点。
→役割は明確か。育成プロセスは言語化されているか。評価や承認の基準は共有されているか。ここが曖昧なままでは、どれだけ丁寧に関わっても迷いは消えません。
最後に、環境の視点。
→質問していい空気があるか。失敗が許容されるか。周囲との関係性や、職場の雰囲気はどうか。
オンボーディングとは、これら3つを同時に整えていく取り組みです。どれか1つに偏ると、育成は再び属人化していきます。
③「新人が悪い」という結論に戻らないために
オンボーディングが機能している組織では、新人がつまずいたときの問いが変わります。
「なぜできないのか」という批判的かつネガティブな問いではなく、「どこが分かりにくかったのか」「どの情報が足りなかったのか」という改善前提の問いに生まれ変わります。原因を個人に帰属させる前に、設計や関わり方を見直す視点が自然と生まれます。この違いは小さく見えるかもしれません。しかし積み重なると、結果には大きな差が出ます。
こうした姿勢が、管理職を孤立させず、組織として学習し続ける力をつくっていきます。
新人が辞めない組織は、管理職を一人にしていない
新人の離職は、突然起きる出来事ではありません。日々の関わり方、判断の積み重ね、そして育成をどう捉えているか。その結果として、静かに表に出てきます。
管理職が育成に関心を持てないのも、知識を持てないのも、多くの場合、個人の怠慢ではありません。そうならざるを得ない環境と前提の中で、役割を背負わされているだけです。
だからこそ必要なのは、誰かの覚悟や善意に頼る育成ではなく、関わり方を支える仕組みとしてのオンボーディングです。
新人が安心して学び、管理職が無理なく育てられる。その両立を実現できるかどうかが、壁を越えられる組織かどうかの分かれ目になります。
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