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内定承諾率が高い会社が自然と行っているプレオンボーディング


内定を出しても承諾につながらない。入社直前で辞退してしまう。採用を強化している企業の多くが、同じ壁に直面しています。

多くの企業では、内定から入社までのわずかな時間を“何も起こらない空白”として扱っています。しかし、承諾率の高い会社ほど、この時期を「受け入れの始まり」として捉えています。その差を生むのが、「プレオンボーディング」です。

1. プレオンボーディングとは何か

プレオンボーディングとは、内定から入社までの間に行う“関係の継続と受け入れ準備”です。

これは、教育プログラムでも事務手続きでもありません。「採用で生まれたつながりを切らさず、入社後の活躍へ自然に橋をかけること」です。

たとえば、あるSaaS企業では、内定者をSlackのオープンチャンネルに招待し、社内の雑談やイベント情報を共有しています。特別なメッセージを送るわけではありませんが、「社内でどんな会話が流れているか」を感じるだけで、入社後の緊張が和らぐといいます。それは“情報”よりも“温度”を伝えているからです。

別の企業では、内定者と入社予定部署のメンバーで1on1を1回だけ設定しています。「事前に話す機会をつくるだけ」で、当日の関係構築にかかる時間が大幅に短縮される。結果的に、入社初日からチームに馴染みやすくなります。

どちらの例も、派手な仕組みではありません。しかし、こうした「関係の地続き感」が、承諾率や定着率に影響しています。

内定承諾率が高い会社が自然に行っている3つの共通点

プレオンボーディングを体系化している企業はまだ少ないですが、承諾率が高い企業には次の3つの共通点が見られます。

  1. 関係の温度を下げない
    承諾率の高い企業は、選考時の担当者やマネジャーが継続的に関わり、やり取りの温度を維持しています。連絡の頻度ではなく、声のトーンや関心の継続が大切です。
  2. 入社前から文化を体験させる
    社内イベントやチームミーティングへの見学、社員とのカジュアル面談など、入社前に“会社の空気”を体験できる場を設けています。こうした体験が、入社後のカルチャーギャップを大きく減らします。
  3. 不安を取り除くより、役割を与える
    多くの企業が「不安をなくすための説明」を重視しますが、人は「必要とされている実感」によって、主体的に動き始めます。この“期待の明確化”こそ、承諾率を左右する要素です。

プレオンボーディングは「学び」の始まりでもある

実は、入社前の期間は、心理的にはすでに学びが始まっている時期でもあります。新しい環境に向けて、自分の立ち位置や求められる役割を探り始めるのです。この時期に会社側が関わりを持つことで、情報を与えるだけでなく、「どのようにこの組織で振る舞えばいいのか」という理解が自然に進みます。

「社会構成主義」の観点で言えば、人の理解や行動は個人の中で完結せず、関係の中で形づくられます。入社前に”関係”が動き出していれば、入社後の適応も早くなります。プレオンボーディングは、“助走期間”として位置づけることができます。

2. 内定辞退はなぜ起こるのか?

内定辞退の理由として「他社の条件が良かった」「勤務地が合わなかった」といった説明がされますが、それは結果にすぎません。実際には、選考中に感じていた“つながり”が薄れたことで、気持ちが離れていきます。人は数字や待遇ではなく、「自分がどう扱われているか」で判断するからです。

入社までの“情報の連続性”が途絶える

採用が内定で一区切りを迎えると、多くの企業で連絡体制が一度リセットされてしまいます。採用担当から現場へ引き継がれる間に、情報が宙に浮くのです。内定者は「誰に何を確認すればいいのか」が分からなくなり、コミュニケーションの責任が曖昧になります。

人は不確実な状況を嫌います。情報が途切れた瞬間、心理的な“リスク”が高まる。これは不安ではなく、「見通しが立たないことによる合理的な撤退行動」です。

内定者は入社前に、「自分の役割がどのように始まるか」を想像しています。しかし多くの企業では、配属先・初期タスク・評価基準が明確でないまま時間が経ちます。すると、候補者の頭の中で、「わからない」を埋める想像が始まります。「最初から戦力として扱われるのか」「誰が自分を見るのか」──その不確実性が、内定辞退を引き起こしてしまいます。

企業の“静かな放置”が信号になる

無反応というものは、もちろん拒絶ではありませんが、関係の優先度を下げたという“シグナル”になります。関係性を築きかけた採用担当が別案件に移る、返信が数日空く、それだけで、候補者は「関係の優先順位」を推測します。
これは認知心理学でいうと、“シグナリング効果”というものです。企業側が意図していなくても、無行動そのものが優先順位の意思表示として解釈されてしまいます。

結果として、「この会社は自分に興味を失った」とまでは思わずとも、「ここで働く未来を自分が主導的に作れるだろうか」と疑念を抱きます。辞退の多くは、この“関係の優先順位の低下”を察知した時点で静かに決まっています。

3. プレオンボーディングを明日から始めるには

多くの企業がプレオンボーディングを検討するとき、「コンテンツを作らないと」「専用ページを用意しよう」と考えます。ですが、最初に必要なのは“準備”ではなく“接点”です。

入社前の1〜2ヶ月は、候補者にとって「新しい環境との関係を確かめる期間」です。
この時期に、組織の誰が・どんな文脈で・どの頻度で接点を持つかを再設計するだけでも大きく変わります。

たとえばSlackのチャンネルに招待する、マネジャーが軽く挨拶のDMを送る、1on1を一度設定する。たったそれだけで「受け入れの準備がある会社」という印象になります。

ステップ①関係を“見える化”する

プレオンボーディングを仕組み化する第一歩は、「誰が」「いつ」「何を」行うかをリスト化することです。

たとえば、このように「関係を設計する表」を作るだけで、属人的なフォローが減ります。ポイントは、“誰が”ではなく“どの関係性”で接点を持つかを考えることです。

フェーズ/時期

担当

内容

目的

内定直後

採用担当

Slackチャンネル招待+メッセージ送付

関係の継続

入社1ヶ月前

マネジャー

軽い1on1(15分)

役割の期待共有

入社2週間前

チームリーダー

現場の雰囲気共有・雑談

心理的安全性

ステップ②役割を“言語化”する

多くの会社は入社前に説明を重ねますが、それよりも大事なのは「あなたに期待していること」を具体的に伝えることです。期待とは、「あなたをどう見ているか」「どんな役割を担ってほしいか」という“視点の共有”です。

たとえば、

  • 「初期フェーズではスピードよりも観察力を重視してほしい」
  • 「チーム内で一番若い立場だからこそ、率直な意見を出してほしい」

こうした一言だけで、入社前の曖昧さが解消され、主体性が生まれます。

役割の不確実性は、最も大きな辞退要因です。だからこそ、入社前の時点で「あなたがここでどう貢献できるか」を明文化することが、プレオンボーディングの中核になります。

ステップ③会社の“雰囲気に触れる瞬間”をつくる

会社の雰囲気、ひいては文化は、言葉や説明ではなく“体験”で伝わります。内定承諾率が高い企業は、形式的な説明よりも「雰囲気に触れる瞬間」を意識的につくっています。

大層なイベントを企画する必要はありません。たとえば

  • 社内イベントの写真や議事録を共有する
  • チームの雑談チャンネルに招待する
  • オンラインで15分だけ“雑談カフェ”を設ける

これらはどれも単なる「共有」ではなく、「あなたもすでに一員である」というメッセージです。この段階で“文化的適応”が始まり、入社後の立ち上がりが格段に早くなります。

おわりに

現代の採用は、“選ぶこと”から“迎えること”へと変化しています。どれだけ多くの応募を集めても、迎え方の設計ができていなければ、人は途中で離れていき、入社しても力を発揮しきれません。

プレオンボーディングとは、制度ではなく関係づくりの技術です。入社を「初日から始まる関係」ではなく「すでに続いている関係」として設計すること。この考え方は、どんな規模や業種の組織にも応用できます。

採用力の強い会社とは、実は“受け入れ力”の高い会社です。そして、その受け入れ力は特別な施策ではなく、「誰が、どんな言葉で、どんなタイミングで迎えるか」という細部の積み重ねから生まれます。

Omboは、そうした“迎え方の設計”を仕組みとして支援するために生まれました。採用の終わりを、受け入れの始まりに変える。それが、これからの成長企業に求められるプレオンボーディングの姿です。


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