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OJTだけでは不十分?無料ではじめられる新入社員研修をご紹介


ほとんどの企業で「新入社員研修」が実施されています。大企業では約98%、中小企業でも約80%が何らかの研修を行っているというデータがあります。(HR総研 人事白書2016)

しかし、実態を詳しく見てみると、多くの企業が 「3日間の入社手続き+企業紹介→あとはOJT」という流れに落ち着いているのではないでしょうか。 一見、実践的なアプローチに思えますが、体系化されていないOJTに頼るだけでは、新入社員の 定着率やパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。

では、どうすればコストをかけずに、効果的な新入社員研修を実施できるのでしょうか。本記事では、無料で導入できるオンボーディングプログラムを紹介します。すぐに実践できる工夫を詰め込みましたので、自社の受け入れ体制の見直しや、新たな研修の取り組みのヒントとして、ぜひ活用してください。

OJTを補完するスタンス作りと新入社員研修の実践施策

企業文化は、外から見ると独特なものです。入社前の面接やリサーチで「この会社のカルチャーは自分に合いそうだ」と思っていても、実際に入ってみると「思っていたのと違う」「どう振る舞えばいいのかわからない」と感じることが少なくありません。

新入社員や中途入社のメンバーが企業の文化にフィットし、組織の一員として自信を持てるようになるには、最初の1ヶ月が極めて重要です。業務スキルを習得する前に、まずは「この会社でどのように働くのか?」という 「スタンス」を確立することが不可欠です。

スタンスとは、単なる業務知識ではなく、企業の文化や価値観、仕事に取り組む姿勢を理解し、自分なりのポジションを確立することを指します。これが確立されていないと、業務スキルをいくら磨いても組織内での活躍につながりにくくなります。

では、どのようにすれば 1ヶ月でスタンスを確立できるのでしょうか。ここでは、すぐに実践できる3つのステップを紹介します。

①期待値を明確に伝える

「いつまでに、どのような状態になってほしいのか?」——この期待値が、曖昧なまま入社初日を迎える企業は意外と多いものです。ゴールが明確であれば、必要なスキルやアクションについて建設的な会話ができますが、そうでなければ「何を頑張ればいいのかわからない」という状態に陥ります。

その解決策として、「オファーレター」ならぬ「ミッションレター」を活用することを提案します。ミッションレターは、配属部署ごとの期待値やルールを文書化し、新入社員に渡すレターのことです。組織が求める方向性と社員が目指すべき方向を一致させることができます。

オンボーディングコンテンツ例:ミッションレター

入社後1ヶ月〜からのロードマップを引くことも、期待値を明確化する上で、非常に重要です。

オンボーディングコンテンツ例:ロードマップ

②自己理解を深め、“自分”を宣言する

新しい環境に入ると、「自分はここで何ができるのか?」「どんな価値を発揮できるのか?」と悩むことがあります。慣れ親しんだ環境では自然に発揮できていた強みやスタイルも、新しい組織では見えづらくなりがちです。そのため、自己理解を促し、それを言語化する機会を設けることが重要です。

例えば、「モチベーショングラフ」を作成し、自分の成長や挫折を振り返りつつ、 自分がモチベーションを感じる瞬間 を整理し、強みや価値観を明確にします。仲間に共有することでより深くあなた自身のことを理解し、信頼関係づくりにつながります。

オンボーディングコンテンツ例:モチベーショングラフ

自己理解は“頭の中で考えるだけ”では十分ではありません。
それを他者に共有し、宣言することが意外と重要だったりします。

宣言する際には、例えば、以下のようなまとめ方をすると、きれいに整理ができます。

オンボーディングコンテンツ例:チャレンジ宣言 ✅自分の強みを言語化する
オンボーディングコンテンツ例:チャレンジ宣言 ✅自分が貢献できること

「なぜ自分はこの会社に入ったのか?」「どのような貢献ができるのか?」を言葉にすることで、自己認識が深まり、周囲との関係構築にも役立ちます。

そして、入社初期に 「私は◯◯が得意です。」「こういう部分でチームに貢献したいです。」 と伝えることで、周囲の理解が進み、適切なフィードバックやサポートを得やすくなります。

③小さな成功体験を積み、自信をつける

入社直後は、どうしても 「学ぶこと」 に集中しがちですが、インプットばかりが続くと 「自分は本当に役に立っているのか?」 という不安が生まれがちです。特に中途入社者 は「まだ部外者なのでは?」と感じやすく、それが行動の萎縮につながることもあります。

だからこそ、 意図的に「小さな成功体験」を設計し、早い段階で貢献感を得られる場をつくること が重要です。実践しやすい「小さな成功体験」の設計を3点紹介します。

【1】「私がこの会社で貢献できること」プレゼン(入社2週間後)

◇内容
前職や過去の経験を踏まえ、「この会社で自分が提供できる価値」を5分で発表

◇成功体験のポイント
✅ 自分の強みを整理し、アウトプットすることで自信がつく
✅ 会社の課題やニーズを考えるきっかけになる
✅ 人前で話すことで、早い段階で社内での存在感を高められる

【2】「競合比較レポート」提出(入社1週間後)

◇内容
自社と競合1社を比較し、違いや特徴をA4サイズに1枚でまとめる

◇成功体験のポイント
✅ 業界知識 を深める実践的な課題
✅ A4 1枚のレポートは社内ですぐに活用される可能性が高い
✅ 営業・マーケティング・開発など、どの職種でも役立つ思考力 を磨ける

オンボーディングコンテンツ例:競合比較リサーチ
オンボーディングコンテンツ例:競合比較リサーチ

【3】「データ分析レポート」提出&発表(入社3週間後)

◇内容
売上データや顧客データを分析し、1つの「気づき」をスライド3枚でまとめて発表

◇成功体験のポイント
✅ 会社のKPIを意識する力がつく
✅ 実際のデータを扱うことで即戦力につながる
✅ 「データをもとに考える習慣」が身につき、定量的な判断力を強化

以上が、3つのステップでのスタンス作りと、具体的な研修方法です。

新卒・中途問わず、入社後の最初の1ヶ月は極めて重要な期間です。この期間で「期待値の明確化」「自己理解の促進」「小さな成功体験の積み重ね」を意図的に設計することで、社員はスムーズに組織に馴染み、成果を出しやすくなります。企業側がこのプロセスを設計し、適切にサポートすることで、新入社員のエンゲージメントが高まり、定着率の向上や中長期的な成長につながります。

実践の前に足元の基礎ビジネス力をチェック

新入社員の育成では、実務スキルを教えることに注力しがちですが、前提となる「基礎ビジネス力」が不足していると、せっかくのOJTも十分に活かせません。

特に第2新卒の場合、前職の業務スタイルによってスキルレベルにばらつきがあるため、早めに現状を把握し、必要なトレーニングを提供することが重要です。今回は以下の4つのスキルを中心にチェックしていきましょう。

①タイピングスキル

タイピングスピードが速くない場合には、合格基準などを設け、タイピングスキルを向上させることが必要かもしれません。具体的には、以下の手順で進めることができます。

  • 一定時間内にどれだけ正確に入力できるかを測る
  • 結果内容(名前・日付・結果)を記録する
  • 合格基準や再テストを設け、レベルアップする

■求められるビジネスシーン
・メールの返信、議事録作成、チャットでの迅速なコミュニケーション
・営業やカスタマーサクセスでのリアルタイムなメモ取り
・レポートや資料作成などの業務全般

■スキルを上げるためには
・毎日5分程度、タイピング練習ツールを活用する
・ブラインドタッチを意識しながら業務での入力を行う

② ショートカット活用スキル

基礎ビジネス力スキルアップ例:ショートカット活用スキル

■求められるビジネスシーン
・ExcelやGoogleスプレッドシートでのデータ入力・編集
・PowerPointでのスライド作成や修正
・メールやドキュメントの作成、検索、保存などの作業全般

■スキルを上げるためには
・よく使うショートカットキーを一覧で確認し、少しずつ業務に取り入れる
・ショートカットを活用することを前提としたワークフローを意識する
・実践型トレーニング(例: 1時間マウスを使わずに業務を行う)を実施する

③要点を掴み要約する力

基礎ビジネス力スキルアップ例:要点を掴み要約する力

■求められるビジネスシーン
・会議や商談の議事録作成、要点をまとめたレポート作成
・クライアントや上司への報告時に、簡潔に説明する場面
・市場調査や競合分析を行い、ポイントを整理して伝える場面

■不足することで想定されること
・伝えたい内容が冗長になり、相手に伝わりにくくなる
・会議の振り返りや議事録が長すぎて、要点がすぐに把握できない
・誤った要約をしてしまい、情報の伝達ミスが発生する

■スキルを上げるためには
・「PREP法(結論→理由→具体例→結論)」などのフレームワークを活用する
・短時間で要点をまとめるトレーニング(例: 記事を読んで100文字以内で要約)を行う
・上司や先輩とレビューを行い、要約の精度を上げる

④スライド作成スキル

基礎ビジネス力スキルアップ例:スライド作成スキル

■求められるビジネスシーン
・社内外向けのプレゼン資料作成
・クライアントへの提案資料や、上司へのレポート資料の作成
・研修資料や業務マニュアルの作成

■不足することで想定されること
・スライドのレイアウトが乱雑で、伝えたいことが伝わりにくくなる
・重要なポイントが埋もれ、プレゼンの説得力が下がる
・1から作成するのに時間がかかり、業務の負担が増える

■スキルを上げるためには
・「1スライド1メッセージ」などの基本ルールを学び、実践する
・会社のスライドテンプレートを活用し、デザインの統一感を意識する
・シンプルで見やすい構成を意識しながら、既存のスライドをブラッシュアップする

社内のつながりが定着率を高める!人的ネットワークの重要性と作り方

社内の人的ネットワークは、入社後の組織適応やキャリア形成に不可欠です。特に新入社員や中途採用者にとって、「すぐに聞ける人」の有無は仕事の進めやすさや成長スピードに影響します。

同期とのつながりは、仕事の悩みを共有し、ストレス発散や成長の振り返りの場となります。また、部署を超えたネットワークは、公式な会議の場では出てこないような情報やアイデアが出てくることもあります。

一方で、人的ネットワークがない場合には、個人が孤立しやすく、特に中途採用者は適応に時間がかかることが多いです。その結果、業務の負担を重く感じ、モチベーションが低下し、早期離職につながることもあります。

人的ネットワークを構築するための効果的な施策例

多くの企業が取り入れている効果的な施策には、以下のようなものがあります。

1. 中途採用者向けのグループ研修

同じ立場の仲間とつながることで、不安を和らげ、情報交換の場をつくります。中途入社者は、それぞれ異なる環境から来るため、「自分だけが戸惑っているのでは?」と感じることも多くあります。
研修を通じて共感し合える関係を築くことで、スムーズに適応できるようになります。また、他部署に知り合いができることで、将来的な協力体制も築きやすくなります。

2. 既存社員との交流機会を増やす研修

新しく入った社員と既存メンバーが自然に関われる機会を増やします。部署を超えた研修やワークショップを実施することで、業務の進め方を学びながら、社内の雰囲気に馴染みやすくなります。
特に、経験豊富な社員とのつながりは、実務スキルの習得だけでなく、社内での立ち回りを学ぶうえでも大きな助けになります。

3. メンター制度(適応エージェント制度)

入社直後の「誰に相談すればいいかわからない…」という不安を解消するため、中途採用者にもメンター(適応エージェント)をつけます。業務のことだけでなく、社内文化や人間関係についてのアドバイスを得られるため、新しい環境への不安を軽減し、安心感につながります。

4. オフサイトミーティングの実施

職場を離れた環境での交流は、社員同士の関係を深める絶好の機会です。会社のビジョンを共有したり、普段の業務では話しにくい悩みを相談したりすることで、信頼関係が深まります。
「雑談から生まれるアイデア」や「ふとした会話で得られるヒント」は、長く働くうえで大切な財産になります。

オフサイトミーティング参考:アジェンダ
オフサイトミーティング参考:アイスブレイク
オフサイトミーティング参考:司会紹介

以上、人的ネットワークを構築するための、4つの具体的な施策の紹介でした。

社内の人的ネットワークは、社員の適応を助けるだけでなく、長期的なキャリア形成や業務の円滑化にも大きく貢献します。しかし、それが自然に生まれるとは限らず、企業が意図的に支援することが求められます。

中途採用者向けのグループ研修や異なる部署の社員との交流機会、適応エージェント制度、オフサイトミーティングなどの施策を組み合わせることで、よりスムーズな組織適応と業務遂行を実現できるでしょう。人的ネットワークが強固な組織は、社員が安心して挑戦できる環境を生み出し、ひいては企業全体の成長にもつながるのです。

まとめ: 新人研修は仕組み+運用が肝

いかがでしたでしょうか。今回の内容を通じて、自社の新人研修をどのように改善できるか、具体的なイメージが湧きましたでしょうか。

新入社員のオンボーディングは、社員の定着率やパフォーマンスに直結する重要なプロセスです。しかし、実際には多くの企業で、スプレッドシートなどを使った管理が主流となっており、その運用に多くの手間と時間がかかってしまっています。そのため、十分なリソースをオンボーディングに割くことができず、研修の質を高めることが難しいのが現状です。

この課題を解決するため、弊社ではオンボーディングにかかる手間や無駄を削減し、スムーズな運用を実現するオンボーディングクラウドサービス「Ombo」を開発しております。煩雑な運用作業から解放され、本来の業務に集中しながら、新入社員がより早く、円滑に組織に適応できる環境を整えることを目指してチーム一丸となり日々奮闘しております。

今回ご紹介した内容が、皆様の組織づくりに役立ち、より良い職場環境を築くための一助となることを心より願っています!


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