eyecatch

"一括オンボーディング"はもう通用しない ── 厳選採用の時代に、受け入れ設計はどう変わるべきか


新卒を一括で採用する仕組みは、明治期に始まり、1960年代の高度経済成長期に定着したといわれています。
当時は労働力不足を背景に、若者が"金の卵"と呼ばれるほど重宝され、大量に採用し長く育てる文化が根付きました。

ただ直近、生成AIの普及とともに、採用基準は上がり、採用人数は絞られるなど、そのあり方は大きく変わりつつあります。
一方で、受け入れる側のオンボーディング設計は、かつての新卒採用から大きく変わっていません。

採る側の前提だけが動いて、受け入れる側が止まったまま。このズレは、いちばん見えにくいところで効いてきます。

なぜ今、新卒採用は「厳選型」に転換しているのか

生成AIを活用する企業のうち、新卒採用戦略を見直したと答えた割合は88.4%(アカリク調べ、2025年9月、人事・採用担当者112名対象)。
半数以上が、採用人数を減らしたと回答しています。

求める人材要件も変化しています。
プログラミングスキル重視が63.8%、創造性・発想力が43.6%、AI活用スキルが40.4%。ガクチカの評価基準さえ、7割超が変えたといいます。

数を減らし、基準を上げる。

これが今、新卒採用の現場で同時に起きていることです。

採用人数を絞ると、受け入れ側の前提も変わる

厳選して採るということは、一人あたりの比重が上がるということでもあります。

10人採って2〜3人が伸びれば良かった時代と、3人採って全員に立ち上がってもらう時代とでは、前提がまるで違います。
1人の早期離職や不適応が組織に与える打撃の大きさが、以前とは変わってきているのです。

ただ、多くの企業の受け入れ設計は、そこに追いついていません。

"一括受け入れ"型が機能しない理由

新卒研修、配属、OJT。多くはいまも"人数が多いこと"を前提に、標準化・効率化を優先して組まれています。

かつては、大卒3年以内離職率が"七五三現象"(大卒3割、高卒5割、中卒7割が早期離職)と呼ばれるほど珍しくなかった時代もありました。
今は大卒33.8%、高卒37.9%(2022年卒)まで改善していますが、"数年で辞めるのが当たり前"という意識のズレは、実はまだ根強く残っています。

そしてOJTという名前は今も同じでも、実態は"背中を見て覚えろ"型のまま。
教える先輩や上司の当たり外れ次第で、育ち方がまるで変わってしまう。

ベテランほど業務が自動化されていて、"なぜ新人が分からないのか"が分からなくなる、という構造的な問題も指摘されています。

しかし厳選採用の新人は、そもそも人数が少ない。
多様なバックグラウンド、多様なスキルを持って入ってくる。
一律のプログラムに揃えようとするほど、個々の強みが埋もれていく。

採用は個別化が進んでいるのに、受け入れは標準化されたまま。ここに矛盾があります。

厳選採用時代に必要な、個別最適化された設計

必要なのは、入社前に把握したスキル・特性を、配属後の育成計画に直結させる仕組みです。

たとえば、AI活用スキルが高い新人には、早期に実務でのAI活用プロジェクトを任せる。
逆に対人スキルが強いなら、顧客接点の多い業務から任せていく。
研修は"揃える"ためではなく、"見極めて伸ばす"ために使う。

少数だからこそ、できることのはずです。

おわりに

採用は、もう変わった。基準は上がり、人数は絞られている。

なのに、"みんな同じ研修を受けさせるのが公平だ"という発想だけは、意外と誰も疑っていません。
本当に必要なのは公平さではなく、一人ひとりに合わせた設計のはずです。

受け入れ側が変わらなければ、採用にかけた手間とコストは、入社後の数ヶ月で失われてしまう。

「厳選採用時代のオンボーディング」とは、広く捉えることではなく、人と人に向き合う設計に他なりません。


各種SNSも更新しています。ぜひフォローをお願いします!

・Ombo X ▶︎ https://x.com/Ombo_bs
・Ombo Facebook ▶︎ https://www.facebook.com/ombo.team/