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結局、オンボーディングが「上手くいっている」とはどういう状態なのか?


先日、ご支援している企業様から「結局、オンボーディングが上手くいくとは何なのか?」という質問をいただいた。

「組織に定着する」とか「立ち上がりが早くなる」とかそういったことは語られるが、新メンバーないし、受け入れる側がどうなっていると上手くいっていて、どうなっていると良くないのか、もう少し具体的にイメージしたいという内容だった。

「オンボーディング」という横文字を使うから、なんだか人事が取り組むべき小難しいタスクのように聞こえてしまうのかもしれません。

サッカー部に見る「2つのタイプ」の1年生

例えば、「高校のサッカー部に入部する1年生」を例にイメージしていきます。

そこには、大きく分けて2つのタイプの1年生がいます。

  • A君(即適応型):初日から周囲の1年生や先輩にも声をかけ、練習中もガンガン声を出して、気付けばAチームで3年生と一緒にプレーするようなやつ。
  • B君(大器晩成型):最初はあまり積極的ではなく、1年目は他の1年生と一緒に切磋琢磨しているが、徐々にチームに馴染み、自分らしくプレーできるようになると2年目から急に化けて、誰もが認める中心選手になるやつ。

さて、ここで問い直したいのは「どちらのオンボーディングが正解なのか?」ということです。

ビジネスの現場では、どうしても早く成果を出す「A君」ばかりが注目されがちです。
「立ち上がりが早い!オンボーディングは大成功だ!」と。

しかし、本当にそうだろうか?

B君のように、組織のスタイルと自分のスタイルを馴染ませるのに最初こそ時間がかかるが、適応したら一気に自分らしくプレーできる状態。これもまた、立派なオンボーディングの成功プロセスです。

つまり、オンボーディングの成否は「スピード(立ち上がりの早さ)だけで測るものではない」ということです。

もっと言うと、最初からガンガンいけたA君の裏には、「実は中学時代の先輩が既にその部にいて、部活のノウハウを事前に知っていた」とか「自分の得意なプレースタイルが、たまたま今の監督の戦術にドンピシャだった」といった、本人だけの力ではない『事前の文脈(=仕込み)』があったりします。

それを無視して、B君に対して「もっとA君みたいに最初から突っ込んでいけよ」と急かすのは、あまりに酷というものです。

結局、「上手くいっている状態」とは何なのか?

では、スピードではないとしたら、現場で何が起きていれば「オンボーディングが上手くいっている」と言えるのでしょうか。

私たちは、新メンバーと受け入れる組織の双方が、以下のような「具体的な状態」になっていることだと定義しています。

1. 新メンバー側:「間合い」が分かり、「SOS」が出せているか

上手くいっている新メンバーは、自分のキャラや前職の強みを「この組織の、どのタイミングで出せばいいか(=間合い)」が掴めています。

そして何より重要なのが、「分からない」を周囲に躊躇なくSOSできている状態です。
これができるのは、組織への信頼が生まれ始めている証拠です。

逆に良くないのは、前職のやり方に固執して周囲と摩擦を起こしている状態、あるいは逆に萎縮して「借りてきた猫」のまま孤立感を深めている状態です。

2. 受け入れる組織側:「共通認識」があり、「失敗の枠」を渡せているか

上手くいっている受け入れチームは、新メンバーに対して過度な期待も放置もせず、適切な距離感を保てています。
何より、チーム全員が「彼/彼女は今、このステップにいる(まだ観察中だな、など)」という状態の共通認識を持てています。

さらに、ただ見守るだけでなく、「ここなら失敗してもチームがカバーできるから、思い切ってやってみて」という『失敗してもいい領域』を切り出して渡せている組織は、新メンバーの立ち上がりを劇的にスムーズにします。

最悪なのは、「即戦力だから」と最初から丸投げして放置したり、前職との違いを「うちのルールだから」と高圧的に押し付けてしまうケースです。

これではA君のようなタイプしか生き残れず、大器晩成のB君は潰れてしまいます。

目の前のメンバーはどちらのタイプなのか?

受け入れ側のマネージャーや先輩がまずやるべきことは、「いま目の前にいる新メンバーが、A君(即適応型)なのか、B君(大器晩成型)なのか」を見極めることです。

新メンバーが入社して最初の1〜2週間、以下の行動パターンを観察してみてください。

チェック1:質問の「質」と「タイミング」

  • A君タイプ: 業務中、わからないことがあれば「その場ですぐ」近くの人に声をかけます。
    「これってどうやるんですか?」と、主語が小さくフランクな質問が多いのが特徴です。

  • B君タイプ: まずはマニュアルや過去のドキュメントを「自分でじっくり調べてから」質問にきます。

    「〜について調べたのですが、この認識で合っていますか?」と、整理された質問を1on1などの決まった時間にする傾向があります。

チェック2:周囲との「距離の詰め方」

  • A君タイプ: ランチや休憩時間、雑談の輪に自分から入っていきます。

    他部署の人や、まだ業務で関わりのない人とも、いつの間にか仲良くなっている世渡り上手です。

  • B君タイプ: まずは「自分の教育担当(メンター)」や「直属の上司」との関係をガチッと固めることから始めます。
    そこが安心できてから、徐々に隣の席、チームのメンバーへと、安全を確認しながら同心円状に関係を広げていきます。

チェック3:意見を求められたときの「反応」

  • A君タイプ: 「まだ全体の状況はわからないですけど、僕はこう思います!」と、自分の直感や前職の経験をベースに、その場ですぐ意見を出せます。
  • B君タイプ: 「まだ全体の仕様や背景を把握しきれていないので、確認してから意見をお伝えしてもいいですか?」と、ファクト(事実)が揃うまで発言を慎重に控える傾向があります。

どちらが良い悪いではありません。大切なのは、相手のタイプに合わせて「受け入れ側のパスの出し方を変える」ということです。

オンボーディングは「なじませる」のではなく「噛み合わせる」

多くの企業は、新メンバーを組織という既存の型に「はめ込もう(なじませよう)」としがちです。

サッカー部で言えば、1年生に「これまでのプレースタイルを全部捨てて、うちの伝統に従え」と強要するようなものです。

しかし、本当に上手くいくオンボーディングとは、新メンバーの持ち味(前職の経験や個性)と、組織の受け皿がガチッと「噛み合う(リスペクトし合う)」こと。

相手がA君タイプなのか、B君タイプなのか。それを見極めた上で、チーム側が適切なパスを出し、受け入れの「間合い」を合わせていく。

Omboは、この「噛み合わせ」のプロセスを感覚論ではなく、仕組みとして誰もが実践できるようご支援しています。

貴社の新しいメンバーは今、サッカー部のグラウンドで、どんな表情でボールを蹴っているでしょうか?


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