4パターンの「やる気がない社員」とは?優秀な社員がやる気を失う理由と対策
新入社員の入社後の定着と早期戦力化を支える、オンボーディングクラウドサービスを開発・提供するOmboと申します。
今回のメソッド記事では、「やる気のない社員」について言語化し、解像度を高めた上で、その対策について解説していきます。やる気がないメンバーがいると思い悩む人事の方やマネジャーの方、そして経営者の方に読んでいただけたら幸いです。
「やる気がない社員」を4つのパターンに分ける
「やる気がない社員」を大きく、以下①〜④の4パターンに分けてみました。
①そもそも仕事に限らず無気力な人
②仕事以外にやる気の矛先がある人
③最初はやる気があった、ポテンシャル人材
④最初はやる気があった、優秀な人
詳細を解説していきます。
パターン①そもそも仕事に限らず無気力な人
「やる気のない社員」の中でも、仕事だけでなくプライベートでもやる気がなさそうな人のことを指します。対策の結論から言うと、「まずは人として元気に生きる」といった初歩的な改善が必要です。
- 原因(なぜそうなるのか)
- 体力不足
- 自己理解不足
- 特徴(どういう人が該当するのか)
- 体力がない、生活習慣が良くない
- 単純に経験不足、知識不足
- 自分の幸せへの理解が浅い
- 会社内における「2:6:2」の下位「2」になってしまっている
こうした「やる気のない社員」への対策として、「食事・睡眠・運動」の改善という初歩の初歩の話となります。このレベルの社員はそもそもの体力不足から「何かを頑張ろう」とするエネルギーが生まれていないことが多いです。真に改善させるには、時間や辛抱が必要になるかもしれません。採用時点で見極めたいところです。
パターン②仕事以外にやる気の矛先がある人
仕事以外のモチベーションが高い人です。本人は、仕事以外の時間も含めて自分の時間を充実させたいと思っています。一方で、会社としてはもっと頑張ってほしいので、今の仕事以上の期待値をかけてしまい、業務量も増えている状態です。
- 原因(なぜそうなるのか)
- 本人の意思と会社からの期待値がマッチしていない
- 特徴(どういう人が該当するのか)
- 組織・会社に何かを求めているわけではない
- 自己解決型が多い(自分で正解を見つけに行こうとする)
- 仕事以外のモチベーションはある(プライベートなど)
- 最低限の仕事はしてくれる、一定の成果は出してくれる
- 「2:6:2」における「上位2」になるポテンシャルはあるが、中位の「6」に留まっている
やる気を持ってもらうために、以下のような対策が考えられます。
◎1on1ミーティングなど定期コミュニケーションを行う
本人が仕事以外にモチベーションがある上で、この会社で働く意義を一緒に作ることが大切です。「無気力な人パターン」と比較して、”応援の仕方”が分かるため、コミュニケーションもしやすいです。
◎社内で人的ネットワークを複数用意する
組織内での相談先を限定せず、複数用意することが重要です。最近では”部分メンター”という言葉もありますが、仕事以外でも自己実現をしている人、社外でも活躍している人を繋げることで、「それでもなお、その人はなぜこの会社で頑張っているのか」を知る良い機会になると思います。受け皿としての相談先だけでなく、本人の自己実現に繋がる機会提供のきっかけ作りになるとよいですね。
◎ジョブ・クラフティングを意識的に行う
業務内容を再解釈し、捉え直し、関わる人(社内、社外)を変えることで、やる気創出に繋げます。単に組織の仕事を”こなしている”という状態にジョブ・クラフティングは効果的です。ジョブ・ローテーションもジョブ・クラフティングの1つの手段ではありますが、表面的な解決策になりやすいため、いずれにしても「本人にとってこの機会がどんな意味があるのか」を会話する機会を取りましょう。
🔍ジョブ・クラフティングとは?
「ジョブ・クラフティング(Job Crafting)」とは、従業員一人ひとりが仕事に対する認知や行動を自ら主体的に修正していくことで、退屈な作業や“やらされ感”のある仕事を“やりがいのあるもの”へと変容させる手法のこと。会社や上司の指示・命令ではなく、自分自身の意思で仕事を再定義し、自分らしさや新しい視点を取り込んでいくことで、モチベーションが高まり、パフォーマンスの向上につながるという考え方です。
出所:日本の人事部(https://jinjibu.jp/keyword/detl/779/ )
パターン③最初はやる気があった、ポテンシャル人材
ポテンシャル人材として採用したが、今はやる気がなくなってしまった社員についてです。組織の初期段階で採用した新卒や第二新卒のメンバーなどが当てはまりやすいかもしれません。
- 原因(なぜそうなるのか)
- 採用のミスマッチ
- または、オンボーディングのミス
- 特徴(どういう人が該当するのか)
- 会社のフェーズと、取るべき人材要件があっていなかった
- ポテンシャル人材として採用をした
- 自走するには実力と経験が足りていなかった
会社における対策としては、2点です。
1つ目は、「取るべき人材要件の言語化」です。採用に関わる経営陣、現場責任者、人事が、会社のフェーズと求める期待値から、”今”採るべき人の共通認識をしていることが大切です。ポテンシャル人材を採用するのであれば、期待値調整と受け入れ体制づくり(オンボーディング)を最低限準備しておきましょう。
ポテンシャル人材についての詳細は、こちらのメソッド記事をご覧ください。
2つ目は、本人のキャリアのヒアリングや機会提供を行った上で、期待値が合わなければ、勇気を持って送り出してあげることも選択肢です。冷淡な扱いのように感じられるかもしれませんが、お互いが無関心で牽制し合う状態が続くことは両者に取って不幸な状態です。
パターン④ 最初はやる気があった、優秀な人
このパターンの人が今回のテーマの中で最も救いたい人です。
なぜならパターン①②③の人はあくまで個人のモチベーションの話ですが、パターン④の人は組織や事業に対して意識が向いているため、次の組織を担う人材になり得るからです。
皆さんの周りでも、当初はすごく仕事ができて、優秀だったにも関わらず、次第に静かになって辞めてしまった方がいませんか。優秀なメンバーだからこそ、本質的な解決を目指し、ケアしてあげることが重要です。
- 原因(なぜそうなるのか)
- 組織フェーズの変化(規模など)
- 本人のやりたいことと経営陣の意向や事業方針が合わない
- 特徴(どういう人が該当するのか)
- 本人のやりたいことが明確
- ビジョン共感している(からこそ意見がある)
- 入社当初に比べて、仕事の裁量が狭まっている(業務の縦割り化、ルールの厳密化)
- 新入社員に対して、教育やティーチングの業務が増え始める
組織フェーズの変化に起因する対策は、「新しい機会を作り、裁量を与える(初期のフェーズを作ってあげる)」ことです。立ち上げフェーズが好きで、プレイヤーとしての熱量が高く、優秀な社員ほどそうなる傾向にあります。
「経営や事業に対して意見が合わない」という場合には、経営陣やマネジャーが、以下のことを意識して、コミュニケーションの機会をつくることが求められます。
- より高次の目的に遡ること
- 共通の目標で目線合わせすること
- お互いの要求・意見を主張しあい、十分に検討・評価しあうこと
- 意見の“調整”の目的を見失わないこと
特に重要なのが、お互いに意見をしっかりと主張し合うこと、そしてどちらかが妥協せずに意見の統合を行うことです。大切なことは”納得感”です。
組織が大きくなり、経営陣とのコミュニケーション機会が以前より少なくなると「この会社でやるべきことはやり終わったかな」と感じ始めます。本人としても会社としてもその結論が不本意であるならば、きちんと意見の統合を行う機会をつくりましょう。
メンバーのやる気を取り戻すために
ここまで3パターンに分けて、”やる気のない社員”について考えてきました。重要なことは次の3つです。
(1) 社員のモチベーションの源泉を知ること
(2) 社員のモチベーションを活かせる機会を提供すること
(3) その上で、本人と組織の意向が統合されていること
特に(3)において、本人の意向を重視しすぎるあまり、組織として本来依頼したいことが依頼できていない状態は不健全です。
まずは「やる気のない社員」がなぜやる気がないのかについて向き合うこと、そして次のやる気のない社員をつくらないように少しでも良いので組織的な改善を行うことが重要です。
Omboは、人や組織に向き合う皆さまを応援しています。今回の解説が参考になれば幸いです!